内閣官房参与辞任,小佐古氏辞意表明全文:年1mSvで運用す­べき! 5/1

"内閣官房参与を辞任した小佐古氏の辞意表明全文" を動画化しました。記者会見のnewsはほんの一部しかTVで観れませんでしたので、全文をご覧ください。*転載:会見は記者クラブのみ公開でした。

2011年05月01日
内閣官房参与を辞任した小佐古氏の辞意表明全文
内閣官房参与の辞任にあたって(辞意表明)

内閣官房参与
小佐古敏荘

 平成23年3月16日、私、小佐古敏荘は内閣官房参与に任ぜられ、原子力災害の収束に向けての活動を当日から開始いたしました。そして災害後、一ヶ月半以上が経過し、事態­収束に向けての各種対策が講じられておりますので、4月30日付けで参与としての活動も一段落させて頂きたいと考え、本日、総理へ退任の報告を行ってきたところです。
 なお、この間の内閣官房参与としての活動は、報告書「福島第一発電所事故に対する対策について」にまとめました。これらは総理他、関係の皆様方にお届け致しました。

 私の任務は「総理に情報提供や助言」を行うことでありました。政府の行っている活動と重複することを避けるため、原子力災害対策本部、原子力安全委員会、原子力安全・保安­院、文部科学省他の活動を逐次レビューし、それらの活動の足りざる部分、不適当と考えられる部分があれば、それに対して情報を提供し、さらに提言という形で助言を行って参­りました。
 特に、原子力災害対策は「原子力プラントに係わる部分」、「環境、放射線、住民に係わる部分」に分かれますので、私、小佐古は、主として「環境、放射線、住民に係わる部分­」といった『放射線防護』を中心とした部分を中心にカバーして参りました。
 ただ、プラントの状況と環境・住民への影響は相互に関連しあっておりますので、原子炉システム工学および原子力安全工学の専門家とも連携しながら活動を続けて参りました。
 さらに、全体は官邸の判断、政治家の判断とも関連するので、福山哲郎内閣官房副長官、細野豪志総理補佐官、総理から直命を受けている空本誠喜衆議院議員とも連携して参りま­した。

 この間、特に対応が急を要する問題が多くあり、またプラント収束および環境影響・住民広報についての必要な対策が十分には講じられていなかったことから、3月16日、原子­力災害対策本部および対策統合本部の支援のための「助言チーム(座長:空本誠喜衆議院議員)」を立ち上げていただきました。まとめた「提言」は、逐次迅速に、官邸および対­策本部に提出しました。それらの一部は現実の対策として実現されました。
 ただ、まだ対策が講じられていない提言もあります。とりわけ、次に述べる、「法と正義に則り行われるべきこと」、「国際常識とヒューマニズムに則りやっていただくべきこと­」の点では考えていることがいくつもあります。今後、政府の対策の内のいくつかのものについては、迅速な見直しおよび正しい対策の実施がなされるよう望むところです。

1.原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい この1ヶ月半、様々な「提言」をしてまいりましたが、その中でも­、とりわけ思いますのは、「原子力災害対策も他の災害対策と同様­に、原子力災害対策に関連する法律や原子力防災指針、原子力防災­マニュアルにその手順、対策が定められており、それに則って進め­るのが基本だ」ということです。 しかしながら、今回の原子力災害に対して、官邸および行政機関は­、そのことを軽視して、その場かぎりで「臨機応変な対応」を行い­、事態収束を遅らせているように見えます。

とりわけ原子力安全委員会は、原子力災害対策において、技術的な­指導・助言の中核をなすべき組織ですが、法に基づく手順遂行、放­射線防護の基本に基づく判断に随分欠けた所があるように見受けま­した。例えば、住民の放射線被ばく線量(既に被ばくしたもの、こ­れから被曝すると予測されるもの)は、緊急時迅速放射能予測ネッ­トワークシステム(SPEEDI)によりなされるべきものであり­ますが、それが法令等に定められている手順どおりに運用されてい­ない。

法令、指針等には放射能放出の線源項の決定が困難であることを前­提にした定めがあるが、この手順はとられず、その計算結果は使用­できる環境下にありながらきちんと活用されなかった。また、公衆­の被ばくの状況もSPEEDIにより迅速に評価できるようになっ­ているが、その結果も迅速に公表されていない。 初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる­等価線量、とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値­を20、30km圏の近傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木­県、群馬県、他の関東、東北の全域にわたって、隠さず迅速に公開­すべきである。さらに、文部科学省所管の日本原子力研究開発機構­によるWSPEEDIシステム(数10kmから数1000kmの­広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、福島県、­茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲­状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである。­

また、文部科学省においても、放射線規制室および放射線審議会に­おける判断と指示には法手順を軽視しているのではと思わせるもの­があります。例えば、放射線業務従事者の緊急時被ばくの「限度」­ですが、この件は既に放射線審議会で国際放射線防護委員会(IC­RP)2007年勧告の国内法令取り入れの議論が、数年間にわた­り行われ、審議終了事項として本年1月末に「放射線審議会基本部­会中間報告書」として取りまとめられ、500mSvあるいは1S­vとすることが勧告されています。法の手順としては、この件につ­き見解を求められれば、そう答えるべきであるが、立地指針等にし­か現れない40-50年前の考え方に基づく、250mSvの数値­使用が妥当かとの経済産業大臣、文部科学大臣等の諮問に対する放­射線審議会の答申として、「それで妥当」としている。

ところが、福島現地での厳しい状況を反映して、今になり500m­Svを限度へとの、再引き上げの議論も始まっている状況である。­まさに「モグラたたき」的、場当たり的な政策決定のプロセスで官­邸と行政機関がとっているように見える。放射線審議会での決定事­項をふまえないこの行政上の手続き無視は、根本からただす必要が­あります。500mSvより低いからいい等の理由から極めて短時­間にメールで審議、強引にものを決めるやり方には大きな疑問を感­じます。重ねて、この種の何年も議論になった重要事項をその決定­事項とは違う趣旨で、「妥当」と判断するのもおかしいと思います­。放射線審議会での決定事項をまったく無視したこの決定方法は、­誰がそのような方法をとりそのように決定したのかを含めて、明ら­かにされるべきでありましょう。この点、強く進言いたします。

今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの­被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、­文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授­業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準­に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用す­べきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせい­ぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するの­は、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別­な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能­ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間20mSv近い被­ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者­でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求め­ることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムから­しても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン­鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で­(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべき­であります。

小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の­使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。 また、今回の福島の原子力災害に関して国際原子力機関(IAEA­)の調査団が訪日し、4回の調査報告会等が行われているが、その­まとめの報告会開催の情報は、外務省から官邸に連絡が入っていな­かった。まさにこれは、国際関係軽視、IAEA軽視ではなかった­かと思います。また核物質計量管理、核査察や核物質防護の観点か­らもIAEAと今回の事故に際して早期から、連携強化を図る必要­があるが、これについて、その時点では官邸および行政機関は気付­いておらず、原子力外交の機能不全ともいえる。国際常識ある原子­力安全行政の復活を強く求めるものである。

以上
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